2008年6月23日月曜日

模擬裁判本番

6月17日~18日に模擬裁判を行いました。
弁護人役を体験した感想です。

 裁判員制度:「真剣審理、体力も必要」 会社員ら模擬裁判--山口地裁 /山口
この藤沢記者の記事にもあるように,体力なくして裁判員裁判はのりきれないことがよくわかりました。
2日間だけとはいえ,全神経はりつめて,次の日は頭がぼおっとしてしまいました。

裁判員役の方にできるだけわかりやすく弁護人の主張を伝えたい。
その方法を模索するのが今回の模擬裁判における課題でした。

検察官と弁護人が,それぞれの主張する本件事件のストーリーを述べる「冒頭陳述」手続。
この手続で裁判官と裁判員は,検察官と弁護人がどんな事実を立証しようとしているのかを知ることになります。

今回はパワーポイントなども使ってみました。
裁判官・裁判員のお手元に説明資料も配ってみました。

それなりに準備したはずの模擬裁判の結果は…,あんなにマスコミの方がきていたのに,よくぞあれほど失敗をしてしまったことよと苦笑せざるをえません。
でも,得るところはたくさんありました。

そのうちの一つ。
パワーポイントは,そのアニメーション的機能ゆえに,「妙に派手でいやだ」という印象を持っている弁護士さんも多いようですが,アニメーションよりも重要な機能があることに気がつきました。

それは,一番核となる事実,要点となる情報を弁護人が考える訓練になるということです。

パワーポイントでは,裁判員の座っている位置から見えやすい文字の大きさは32ポイント以上です。
これに加えて,見やすい配置をすると,文字数はかなり限られてきます。

 この限られた画面を使って,裁判員に伝えたいことを書くとすればどんな言葉を選ぶか。

一番核となる事実を探りあてることになります。
要点を考える訓練になるのです。

ということに,もっと早く気が付けばよかった。
ぎりぎりの日程でパワポをいじっているうちにふと気が付いたところもありましたが,見通しが甘くて,本番までに間に合いませんでした。
まあ,パワポをいじってる段階で,事件の中核を探り当てようとすること自体,遅すぎる。
一夜漬けは無理でした(あたりまえ)。

本来なら,公判前整理手続中に,どの事実と証拠を中核におくのか決めないといけない。
そして,裁判の日を先取りして
パワポでうつしだすとしたらどの言葉を前面に押し出すのか,
証人尋問や被告人質問ででどんな言葉をひきだしたいのか,どの証拠のどの箇所を使うのか。
全部決めないといけない。

そこまで準備しておかないと,裁判員にわかりやすく説明ができない。
プレゼンも作れない。

そういうことを痛感した模擬裁判でした。
ヒントをあちこちからいただいていたのですが,結局,体験してみないとよくわかりませんでした。

まだまだ書きたいことはありますが,またそのうちに。

・おまけ・
パワーポイントはシンプルな機能だけの使用にとどめるなら,5分講座で初心者でも覚えられます。
一緒に弁護人を担当したI先生と5分だけの講座(弁護士向け)を開講したいぐらいです。